「北新地でランチしてみたいけど、自分にはちょっと敷居が高いな……」
そんなふうに思っている50代男性はいないでしょうか。
私はまさにそうでした。
北新地と聞くと、高級な飲食店が立ち並び、普段からそういう店を利用している人が行く場所というイメージ。
私のような一般庶民が行ったら、
「服装はこれで大丈夫かな?」
「店に入って浮かないかな?」
「高い料理を勧められたらどうしよう?」
なんて、食事を楽しむ前から余計なことを考えてしまいます。
ところが今回、嫁さんに誘われて北新地の「かの山」へランチに行ってみました。
結論からいうと、北新地だからといって必要以上に構えることはありませんでした。
1,600円のランチで、普段のチェーン店とはちょっと違う料理や接客、落ち着いた時間を楽しめました。
そして50代になった今、こういう夫婦でのランチもいいもんだな、と感じました。
「北新地にランチ行こうか?」嫁さんの一言から始まった
ある日、嫁さんから、
「北新地にランチ行こうか?」
と提案がありました。
私は北新地のお店に入ったことがありません。
昼間の人通りが少ない時間帯に、興味本位で散歩したことがある程度です。
普段、休日に外食するといえばマクドナルドや回転寿司などのチェーン店。
いつ行ってもだいたい味が分かっていて、値段も分かる。
安心といえば安心です。
ただ、いつも同じような店で食べて、腹を満たして帰る。
そんな変化のない休日に、どこか満たされない気持ちもありました。
だから今回は、
「行ってみようか」
と嫁さんの提案に乗ってみることにしました。
いざ北新地でランチとなると、やっぱり緊張する
散歩するだけなら何とも思わなかった北新地。
ところが「今日は北新地のお店で食事をする」となると、急に緊張してきます。
どんな服を着ていけばいい?
店に入ったらどんな顔をしていたらいい?
高いメニューを勧められたらどうしよう?
料理が来るまで嫁さんと何を話そう?
今考えると「そこまで考えんでもええやろ」と思います。
でも、そのときは本当にこんなことを考えていました。
50代にもなると、しょうもないプライドもあります。
「北新地に慣れていないと思われたくない」
「場違いな客だと思われたくない」
誰もそんなことを気にしていないのに、勝手に自分でハードルを上げていました。
開店時間の11時30分に予約して入店

嫁さんが開店時間の11時30分に合わせて予約してくれていました。
「かの山」と書かれた暖簾をくぐり、階段で地下へ。
引き戸を開けると、男性スタッフが入口まで迎えに来てくれました。
「ご予約はされていますか?」
「はい、○○で予約しました」
名前を伝えると席まで案内してくれ、椅子まで引いてくれます。
普段行く店ではあまり経験しない対応です。
この時点で、
「あぁ、やっぱり北新地やな」
と少し感じました。
でも、心配していたような居心地の悪さはありませんでした。
北新地なのにランチは1,600円
今回、嫁さんが予約してくれていたのはこちら。
【ランチ限定定食】椀物・漬物・とろろ・選べるご飯(雪室熟成豚ロースかつ)
価格は1,600円でした。
北新地で1,600円。
もっと高いと思っていたので、これは意外でした。
……と言いつつ、普段マクドで1,000円くらいになると、
「高っ!?」
と言ってしまう私です。

それを考えれば1,600円は決して安い昼飯ではありません。
でも、「北新地でランチを食べる」ということに勝手に抱いていたイメージからすると、思っていたよりずっと現実的な値段でした。
高級店に勝手なイメージを持っていた自分
店内には半円状のカウンターがあります。
見には行っていませんが、個室もあるようです。
カウンター越しでは、茶色に髪を染めた男性料理人が黙々と調理していました。
私は勝手に、高級料理店の料理人というと黒髪で、いかにも職人という感じの人を想像していました。

「こんなところでも自分は古い考えを持ってるんやな」
と少し反省。
料理人は手際よく串揚げを調理しています。
スタッフが注文を確認し、料理人に伝える。
そのやり取りを見ていると料理人の口調が少しキツいのかな?と感じる場面もありました。
ただ、注文を間違えるわけにはいかない仕事です。
串揚げが完成すると、
「○○になります」
と、お客さんの前へ素早く丁寧に提供していました。
こういう一つひとつの仕草を見ていると、普段利用している店とはまた違った雰囲気を感じます。
シソ飯を選んだだけなのに、ちょっと気分が変わった

席について10分ほどすると、私と嫁さんの前にランチが運ばれてきました。
「ご飯は白飯とシソ飯が選べて、おかわり自由です」
と説明を受けます。
嫁さんは、
「せっかくやし、食べたことのないシソ飯にするわ」
と即決。
私は何も考えず、いつものように白飯を選ぼうとしていました。
でも、嫁さんの言葉を聞いて、
「じゃあ俺もシソ飯にしよう」
と変更。
本当にちょっとしたことです。
でも、この「いつもと違う方を選んでみる」ということが妙に印象に残りました。
50代になると、自分が好きなものも分かってくるし、失敗したくないから同じものを選びがちです。
いつもの店。
いつものメニュー。
いつもの休日。
それは安心だけど、同時にマンネリにもなります。
シソ飯を選んだくらいの小さな変化でも、普段と違うことをやってみると意外と楽しい。
そんなことを思いました。
雪室熟成豚のロースかつを食べてみる
メインは雪室熟成豚のロースかつ。
ツヤのあるロースかつを、まずソースにつけて食べてみます。
衣は見た目通りサクサク。
豚肉は柔らかくてジューシーです。
噛むと肉の味がじわっと出てくる感じで、これは美味しい。
ソース・ポン酢・塩の3種類で楽しめます。
全部試してみましたが、私は塩で食べるのが一番好みでした。
肉そのものの味が分かりやすく感じます。
味噌汁や漬物もおいしい。
「せっかくやし、ご飯もおかわりしよう」
と思っていましたが、食べ終わるころには十分満腹。
結局、おかわりはできませんでした。
「北新地=自分には関係ない場所」ではなかった
今回、一番変わったのは北新地に対するイメージです。
もちろん北新地には高級なお店がたくさんあります。
でも、だからといって「普通の会社員が行ってはいけない場所」ではありません。
少なくとも今回のランチでは、私が心配していたようなことはありませんでした。
服装を必要以上に気にすることもなかった。
北新地に慣れているふりをする必要もなかった。
高い料理を勧められて困ることもなかった。
予約して店に入り、案内された席に座って、出てきた料理を嫁さんと食べる。
それだけでした。
自分で勝手に「北新地」という名前にビビっていただけだったのかもしれません。
1,600円で「いつもと違う休日」が楽しめた
普段利用しているチェーン店のランチと比べれば、1,600円は少し高く感じます。
でも、その差で得られたのは料理だけではありませんでした。
落ち着いた店内。
丁寧な接客。
普段とは違う料理。
そして、
「北新地で嫁さんとランチした」
というちょっとした体験。
これらを含めて考えると、たまの休日ならこういうお金の使い方も悪くないと思いました。
子供が大きくなった50代。夫婦でランチするのも悪くない
今回、少し考えたことがあります。
嫁さんは私と出会う前、OLをしていたころに上司に北新地へ連れて行ってもらったり、家族で来たりしたことがあったそうです。
そんな話を聞くと、
「俺がもう少し稼いでいたら、普通にこういうところへ連れて来られたのにな……」
と、少し申し訳ない気持ちにもなりました。
でも、今からでも遅くはないんですよね。
子供が大きくなると、家族全員でランチへ行く機会も少しずつ減ってきます。
その代わり、これからは嫁さんと二人で出かける時間が増えていくのかもしれません。
毎回、高級店に行く必要はありません。
いつものマクドや回転寿司もいい。
でも、ときどき1,600円を出して、普段なら入らない店に入ってみる。
知らない料理を食べてみる。
白飯ではなくシソ飯を選んでみる。
そんな小さな変化でも、マンネリ気味だった休日が少し違って見えます。
北新地に敷居の高さを感じている同年代の男性がいたら、まずはランチから行ってみるのもいいかもしれません。
私も次は、また別の「ちょっと入りにくそうな店」に嫁さんと行ってみようと思います。